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映画でTRY!シェイクスピア − 第一夜 −
正直、私もね、実際に演ってみるまではシェイクスピアなんて全然興味が湧かなかったよ。
とにかく「難しい」っていうイメージしかなかったし、
ちょっといちびって本を手にしてみても、セリフばっかり並んでて「なんじゃこりゃ?」って感じだしね。
そうなんです、シェイクスピアは普通の小説みたいな本じゃないんです。
じゃあ、あれは何かと言うと、「戯曲」といわれるジャンルの書物で、
手っ取り早く言うと「ドラマの台本」。
「誰がどこでどうした」って書いてあるのではなくて、
A: おぉ、ロミオ、どうしてあなたは「ロミオ」なの?
B: あぁ、麗しのジュリエットが僕の名を呼んでいる・・・
A: あなたが「ロミオ」でさえなければ・・・
B: 今すぐ、名乗り出るべきか、いや、もうちょっとこのまま・・・
ってな具合に、役名とセリフだけがズラズラと並んでいて、状況説明はほとんどありません。
(もちろん、原文だとこれがエリザベス朝時代の英語で書かれていますが。)
音楽でいうと「楽譜」みたいなもんで、それだけではどういうものを表しているのか読んだだけではピンと来ない。
楽譜をなぞって演奏されてはじめてわかるように、戯曲も演じられてはじめて完成されるものなのです。
それじゃあ、実際の劇を見ればいいわけかって舞台を観に行こうもんなら、
これがまた、ぶっちゃけた話、チケット代がけっこうしちゃうんだよね。
ちょっとかじってみたいだけなのよ、っていう人にとっては、
「え?高いじゃない。それなら別にいいわ。」ってなりそうな金額なので、
あんまり易々とはオススメできません。
そこで、今回オススメしたいのは「映画」!(前フリが長かったが、やっと本題。)
これならレンタルでいつでも手に入るし、手軽だしね。
とりあえず、「第一夜」として3つのレベルに分けて、“ワタシなりに”ご紹介してみます。
・入門編 ロミオ&ジュリエット : 1996 : 米 :
Romeo + Juliet :
バズ・ラーマン監督
主演: レオナルド・ディカプリオ、
クレア・ディーンズ
シェイクスピアって古典だし、とっつきにくいかも・・・っていうアナタには・・・ これはレオナルド・ディカプリオとクレア・デーンズが出演している新しい「ロミオとジュリエット」。
舞台は現代になっていて、場所も都会のなんだけども、どこか非現実空間的。
街のチンピラ風アロハシャツという出で立ちで、剣の代わりに「銃」を持っています。
でも、セリフは原文のままで、「銃」って字幕が出ていても、ちゃんと英語で「剣」って言ってるんですよ。
映像もとっても現代的でスピード感があって斬新だし、音楽も現代的なのがふんだんに使ってあります。
有名ドコロを挙げると、The Cardigansの“Lovefool”が使われていたりして、
まるで音楽のプロモーションビデオを見ているような感覚で観られます。
(この映画のサウンドトラックCDも“UKモノ”の流行と重なって注目を受けました。)
エンド・クレジットで流れるRADIO HEADの“EXIT MUSIC(FOR A FILM)”(“OK COMPUTER”収録)が結構ワタシは好きだったりします。とてつもなく暗いんだけど。
演出も斬新ですよ。最後にね、二人の目が合っちゃうんだなー、これが。「あーーーーっ」って思わず叫びたくなるほど。
これを観て、「あ、なんだ、シェイクスピアって言っても普通の恋愛ドラマと変わらないじゃん」
という感想を持てたらしめたもの。
・中級編
ロミオとジュリエット : 1968 : 英・伊 :
Romeo and Juliet :
フランコ・ゼフィレッリ監督
主演: オリビア・ハッセー、
レナード・ホワイティング
シェイクスピアも少し分かってきた、ちょっと本腰入れてみっか?ってアナタには・・・
これが入門編でもいいんだけどね、普通は。
「ロミオとジュリエット」といえばコレ!ってくらい映画化されている中では一番ポピュラーな作品です。
この映画で使われたテーマ音楽「愛のテーマ」も有名になりました。
オリビア・ハッセーもとってもかわいいので、まさに若き二人が悲運な恋に出会ってしまったって感じです。
それまでの「ロミオとジュリエット」は大人の俳優・女優さんがやっていたそうですから、
この映画に出演のこの二人は原作に近い年齢ということで、それだけでも当時は斬新
だったのだとか。ベットシーンで肌を見せることもそれまではなかったそうですよ。
今となっては古典の部類に入ってしまうこの作品、これと先に挙げたディカプリオ版のとを
見比べてみることをオススメします。
ま、人それぞれ「好き嫌い」があるので、どちらがいいとかそういうのは抜きにしてね・・・。
・上級編
恋におちたシェイクスピア : 1998 : 米 :
SHAKESPEARE IN LOVE :
ジョン・マッデン監督
主演: グウィネス・パルトロウ 、
ジョセフ ファインズ 、ベン・アフレック
シェイクスピアもだいぶ分かったぜ!なんでもござれのアナタには・・・
これはシェイクスピア自身の恋物語。「ロミオ&ジュリエット」や「十二夜」のル-ツを新解
釈でコミカルに描かれた映画です。ストーリーも充分スリリングでおもしろいのですが、
これはがんばって日本語字幕に頼らず、英語に耳を澄ましてみてください。
実は「ロミオとジュリエット」に出てくるようなセリフが散りばめられてたりして、
分かっている人は(たとえば英語圏の人とか)その部分で大ウケだそうですよ。
一例を挙げると、「ロミオとジュリエット」の中でロミオが窓辺をよじ登ってくるシーンで、
ジュリエットが乳母の呼びかけに対して「今すぐ行きますってばー」ってな具合に叫んでますよね。
この映画の中では、シェイクスピアがヴァイオラとベットインするところに使われています。
日本語では「go」の意味になる部分を、「come」で言ってます。そういったのがその他にも
たくさんありますので、探してみてください。DVD版だと英語字幕も出るとかで、セリフ研究には絶対DVD版をオススメ。
この物語の最後は「十二夜」につながっていて、個人的にうれしくなってしまいます。
なんてったって、ヒロインの名前が“ヴァイオラ”だもんね。
こんなんでましたけど・・・ってかんじなんですが、楽しんでいただけましたでしょうか?
「第一夜」って書いちゃったけど、「第二夜」は今後あるんだろうか・・・?こんなんもあります→シェイクスピア映画リスト