◆ペリクリーズ◆
※シェイクスピアの「ロマンス劇」第1弾。嵐、近親相姦、売春宿、親子の別離と再会。波乱万丈の運命に翻弄される。「時」こそ人間の支配者か?
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若き領主ペリクリーズは、アンティオケの大王と娘との近親相姦の大罪の秘密をあばいてしまったため、身の危険を感じ故郷に逃げ帰るがその航海途中で嵐に遭う。奇跡的に助かったペリクリーズ。漂着した国で、槍の試合で優勝し姫と結婚するものの、帰国途中でまた嵐と出遭い、産気づいた妻は死んでしまい、産まれたばかりの娘も他国の太守に預けることとなる。 | 歳月は流れ、その預けられたペリクリーズの娘は美貌と才知を持った立派な娘に育っていた。そんな娘を妬んだ太守夫人はその娘を殺害を企むが、危機一髪で海賊にさらわれ助かったものの、その後売春宿に売られ、これまた流転の人生。最後は死んだはずの妻も生きていて、全員再会しハッピーエンドを迎える。
※ここでいう「ロマンス劇」とは単なる恋愛モノを指すのではなく、「悲喜劇」の形をとり、家族(一族)の離散、長い歳月の放浪といった「悲劇」から、後半は再会、和解、再生となり、ハッピーエンドの結末に逆転するパターンをいう。この『ペリクリーズ』のほかに、『シンベリン』『冬物語』『テンペスト』の四編を「ロマンス劇」と称する。
・主な登場人物 | アンタイオカス=アンティオケの王 ペリクリーズ=ツロの領主 クリーオン=タルソの太守 セリモン=エペソスの貴族 ダイオナイザ=クリーオンの妻 セーザ=サイモニディーズの王女、のちにペリクリーズの妻 マリーナ=ペリクリーズとセーザの間の娘 詩人ガワー=説明役として ◎場面=数カ国にまたがる |